昔はQOL(クオリティオブライフ)というと、残された余命の生活の質のことをさしていましたが、今は人生をどう生きるか、どのように人生を楽しむかというときに使われる言葉になりました。
ある50歳の患者さんの話です。子育てから手が離れ、今後は自分のための人生を過ごそうと楽しみにしていたところ、気がついてみると歯周病で歯がぐらついていたのです。これでは思うように食事をすることができません。
食べる行為は生活の中の楽しみの一つです。例え物質的には満たされていたとしても、思うように食べることができなければ幸せな気持ちにはなれないのでは、と感じました。
もちろん、その患者さんはしっかりと噛むことができて、物をおいしく食べられる歯を希望しています。しかし、入れ歯には抵抗を持っており、インプラント治療を前向きに考えています。これは、かつての“50歳までの人生”から“50歳からの人生”という傾向に変わってきたいい例ではないかとも思いました。
仕事、家事、子育てに全力を尽くしつつも、後の自分の人生を楽しく過ごすためには、忙しくても健康に気を使うべきです。健康診断を受けていますか?若い頃からの日頃のケアが、自分の楽しい人生に反映されていくでしょう。